シャーロック第5話から愛について考える
ふと見かけたドラマ【https://www.fujitv.co.jp/sherlock/】が想像以上に面白く、かつ社会へのメッセージ性もあったので少し書きます。
簡単なあらすじ(ネタバレ含む)
建設会社に勤める若手タカアキは、上司の町田からあるプロジェクトに抜擢される。しかしながらそこから始まったのはパワハラの毎日だった。そんな日々が続いていたある日、町田の家に遺体は無いのにタカアキの致死量の血が部屋にぶちまけられていた。町田は事件推定時刻には間違いなく外出していて間違いなく犯人では無い。遺体はどこに?そもそもタカアキは死んでいるのか?というのが今回の状況。
真相は、タカアキは自殺していて、会社でのパワハラを知っていた母親が憎しみから遺体の血を抜いて町田の家にばら撒いたということだった。
このドラマで描かれた2大テーマは
①パワハラに苦しんで自殺した人の死は、自殺じゃなく殺人だ。
②歪んだ愛は、家族ないし人間関係を崩壊させる。
①について
今回の事件を解く刑事は「身体にナイフを刺せば血が出る、心にナイフを刺しても見えない血は流れる。お前のやったことは殺人なんだよ」と語気を強めてパワハラ上司に詰め寄った。
加えて、息子を失った母に対して刑事が寄り添った時、母は「あの子が自殺…?殺人でしょうが!!」と涙ながらにやり切れない想いを叫んだ。
自ら死を選んで実行したのは本人。ただその原因は間違いなく上司。この場合は自殺か、殺人か? パワハラという言葉に収まるものだけでなく、他者の自尊心を著しく下げる、愛も思いやりもない言動は〝殺人行為〟である。今パワハラを行っている人(多分この問題は本人に自覚がないから厄介。このドラマでも町田はタカアキの死について「俺には関係ないこと」と一蹴していた)への、それを許してしまっている会社や社会への、強いメッセージを感じた。
自分も遭ったことがないわけでは無いが、パワハラや人を傷付ける言動を平気でする人達が全く理解出来ない。凄まじく幼稚で、精神的に未熟で、道徳観が欠如している残念な人。そんな人らと自分は対極にいたいし、何よりこれから先の人生では遭いたくない。。
②について
死んだ息子の遺体から血を抜いてパワハラ上司の家にばら撒くという異常行為に出た母親。このドラマの最後には、実はタカアキが母親の歪んだ愛と過度な節介に嫌気が差していたことが初めて母親に明かされます。我が子が好きで好きで堪らない、何でもしてあげたい、そんな想いは〝母親の期待に応えなければならない子供〟を産み出してしまっていた。
そんなタカアキにとって就活だけは、初めて自分の意思で自分だけで掴み取ったものだった。だからこそ、自殺に追い込まれるほど精神的に辛かったのに頑張り続けた。自殺の原因の一つには自身の限界を超えてまでも、親からの自立を切望した息子を造ってしまった母親にもあったというオチだ。
自分の周りでも、親からの期待や過度な抑圧から大学生になったあたりで悩んだり、盛大に発散する人を何人も見てきました。厳しく厳しく育てたのに、大学生で一人暮らしなんかの自由を得た瞬間大爆発とか、ね。
最後、ドラマ内で主人公が水槽のグッピーを見ながらこんなセリフを。
「グッピーは自分で産んだ子を食べてしまうことがある。人間も同じかもな。」